2023年6月期 決算説明資料(スクリプト付き)
2023年8月10日に動画配信いたしました2023年6月期 決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
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ご挨拶
皆さま、こんにちは。
私は全研本社株式会社 代表取締役社長の林 順之亮でございます。
目次
これより、2023年6月期決算のご説明をさせていただきます。
2023年6月期 連結決算ハイライト【前期比較】
2023年は、前期比で減収減益 となりました。
売上高は70億円となり、約7億円のマイナスとなりました。
営業利益は8億円、約15億円のマイナスとなりました。
売上の減少は、今年5月に売却しました子会社サイシードが手掛けていた、新型コロナウイルスのワクチン接種専用予約システムの売上が、コロナ収束により大幅に減少したことが主な要因です。
営業利益については、今申し上げたサイシードの影響に加えて、ITセグメントにおける費用増加が影響しております。
右の図では、サイシードの影響を除いた前期比較を示しております。
サイシードの影響を除いた数字を比較しますと、売上は3億円のプラスとなります。
営業利益は、外注費や人件費などの費用が増加したことにより、5億円のマイナスとなりました。
次のページでセグメント別にご説明いたします。
2023年6月期 連結決算ハイライト(セグメント別)【前期比較】
こちらは、セグメント別の前期比でございます。
ITセグメントは、減収減益でございます。
売上高は54億円となり、8億円のマイナスとなりました。
繰り返しになりますが、サイシードが2021年3月より手掛けていた新型コロナウイルスワクチン接種専用予約管理システムの売上が減少した影響です。
ただし、期初からこの売上減少については、想定していた範囲のものとなります。
セグメント利益は11億円となり、14億円のマイナスとなります。
減益の主な要因は、減収に加え、コンテンツマーケティング事業において、お客さまの集客率を向上させるために有料広告・リスティング広告の出稿を増やしたことによる外注費の増加や、戦力となる人材の採用増に伴う人件費などの増加でございます。
語学セグメント、不動産セグメントは、それぞれ若干の増収増益にて着地いたしました。
四半期別業績推移
続きまして、直前四半期比です。
売上高は4億円のマイナス、営業利益は1億円のマイナスとなりました。
サイシードが、4Qにおいて、連結範囲から除外されたことが大きく影響しております。
収益の分解情報 ~ITセグメント事業別
次に、ITセグメントの売上高を事業別に分解したものでご説明いたします。
コンテンツマーケティング事業は、直前四半期比でほぼ横ばいとなりました。
専門メディアが少ない電機や機械などのBtoBの業種を中心に活動しております。
メディア事業は、エリアポータルメディアが堅調に推移しておりますが、3Qの季節要因が剥落した影響で直前四半期比で減収となっております。
AI事業については、4Qにおいて、サイシードが連結範囲から除外されているため、発生しておりません。
収益の分解情報 ~ストック/フロー別
ストック・フロー別に売上高を見た場合の比率は、「ストック 7」対「フロー 3」となります。
4Qにおいて、サイシードが連結範囲から除外されているため、ワクチン接種専用予約システムの売上は発生しておりません。
2023年6月期業績予想と実績の比較
続いて、通期業績予想に対する実績でございます。
2023年5月に、期初に開示しました通期業績予想に対して修正予想を開示させて頂きましたが、期末の追い込みもあり、各項目において予想を上回る水準で着地いたしました。
なお、4Qでは、サイシードの株式売却に伴い、約2億円の特別損失を計上いたしました。
バランスシートの状況
続いてバランスシートの状況です。
流動資産の残高は前期末比で20億円減少しております。
これは主に、2023年3月に実施しました、スタイル・エッジとの資本業務提携に伴う株式の取得9億6千万円や、法人税の納税および配当金支払などにより現預金が減少した影響です。
固定資産は、スタイル・エッジ株式の取得による影響で増加しております。
負債は、未払法人税の減少や借入金の約定弁済などの影響で大幅に減少しております。
キャッシュフローの状況
キャッシュフローの状況はご覧の通りです。
税金等調整前当期純利益の減少などの影響で営業キャッシュフローが減少、また、スタイル・エッジとの資本業務提携に伴い、投資キャッシュフローの支出が増加しております。
主な指標①
続きまして、主力のコンテンツマーケティング事業の状況をご報告いたします。
期初の計画に対しまして、新規公開メディア数は48%、運用メディア数は77%の着地となりました。単価が高く、かつ、ウェブ広告のニーズが旺盛で、専門メディアが少ないため、伸びていく可能性が高いBtoB業種へのアプローチを強化しました。その結果、件数自体は減少傾向にありますが、単価は増加しており、売上高は前期比ほぼ横ばいとなっております。
メディア平均継続期間は、計画 38カ月に対し、40カ月を超える結果となりました。
主な指標②
主要な集客メディアを業種別に見ますと、BtoB業種が比率を伸ばし、50% となりました。
取引先数は減少しておりますが、先ほど申し上げた通り、単価の高い取引が取れておりますので、売上への影響は限定的です。
このBtoB業種は、製造業・機械・エネルギー・ITツール・コンサルティングなど、大変巨大なマーケットでございます。
さらに、毎年新しい技術や商品が生まれ、新しいものほど情報が不足していますので、当社の専門メディアの開拓余地も増加していく傾向にございます。
当社としては、専門メディアのないところに専門メディアをつくることと、提供するメディアの質を重視し、顧客満足度を高めることで、事業をさらに伸ばしていきたいと考えております。
トピックス
続いて直近のトピックスについて4点触れさせていただきます。
①スタイル・エッジとの資本業務提携/➁ AI事業を担う子会社サイシードの全株式を譲渡
1点目は、今年の3月に株式会社スタイル・エッジと資本業務提携を行いました。
普通株式 240株を9億6千万円にて取得し、出資比率は 14.9%となります。
スタイル・エッジは、士業・医業を中心とした専門家・専門機関に特化したシステム支援とマーケティング支援などをワンストップにて行うことを強みとする会社です。
全研本社は幅広い業種を対象とする集客メディアに強みを持っております。お互いの強みを生かしながら顧客層を拡大させ、新しい価値を一緒に創っていくために、出資という形をとりました。
今後、両社で、士業・医業を中心とした全国規模でのコンテンツマーケティングによる集客支援を実施し、事業を 拡大してまいりたいと考えております。
2点目は、AI事業を担う子会社サイシードの全株式をハヤテインベストメント株式会社に譲渡しました。
サイシードは2016年に子会社化以降、AIサービスの拡大に向けて取り組んでおり、単体では毎期赤字が続いておりましたが、足元では新型コロナウイルスのワクチン接種専用予約システムを開発し、大きく当社の業績に貢献しました。
ただし、コロナ収束の後はワクチン接種のシステムによる売上は見込めず、また、チャットボットを取り巻く事業環境はChatGPTの台頭などで益々厳しくなることが想定されます。
サイシードの事業拡大のためにはスケールが必要な状況であることは明白であり、また、当社にとっても、選択と集中を進めた結果、このタイミングでのサイシードの売却が適切な選択だと判断いたしました。
③配当性向40%を基準とする配当方針へ変更/④自己株式の取得を決議
3点目は、配当性向40%を基準とする配当方針への変更を決議いたしました。
当社は、成長投資による事業拡大を引き続き目指すと同時に、株主の皆さまに長く応援して頂ける企業になるために、今後、より積極的な利益還元を実施していきたいと考えております。
配当については、各期の業績、財務健全性の維持、将来の事業展開に必要な内部留保の水準などを総合的に勘案しながら、当面の間、年間配当性向40%を基準として、継続的かつ安定的に配当を行ってまいります。
4点目は、本日、別途開示しておりますが、このたび、1億円を上限とする自己株式の取得を決議いたしました。
当社の株価は、過去における当社株価水準と比較して割安で推移していると認識しております。
株主還元の充実と、資本効率の向上を目的に、8月14日より、当社として初めて自己株式の取得を実施することといたしました。
また、今後も、株式市場の動向を注視しながらではありますが、業績や、戦略的な投資機会、株価水準などを総合的に勘案し、自己株式の取得を検討していく予定です。
2024年6月期決算の見通し
続きまして、2024年6月期決算の見通しについてご説明いたします。
2024年6月期決算の見通し概要
売上高は約64億円と、マイナス6億円を見込んでおります。
トピックスにてご説明しましたサイシード売却により、売上高が減少するものの、コンテンツマーケティング事業及び海外人材事業の成長を見込んでおります。
一方、営業利益は約7億円と、前期比で約1億円のマイナスとなる見込みです。サイシード売却による減少、海外人材事業の広告宣伝費などの費用の増加を計画していることから、減益を見込んでおります。
営業利益率は、11.2%となる見込みです。
セグメント別の見通し
セグメント別の見通しです。
まずITセグメントですが、主力のコンテンツマーケティング事業の業績拡大を見込む一方で、サイシード売却により減収を見込んでおります。
費用面では、今後成長を見込む海外人材事業などにおいて、広告宣伝費などの増加を予定しております。
以上により、売上高は48億円で、5億円のマイナス。セグメント利益は10億円で、およそ1億円のマイナスを見込んでおります。このITセグメントの見通しが、全体の売上高・営業利益の見通しに影響しております。
語学セグメントは、売上高は7億円、営業利益は3千万円を見込んでおります。
不動産セグメントについては、保有する不動産に変動はありませんので、前期と同程度を見込んでおります。
2024年6月期決算見通し
こちらは見通しをまとめたものです。のちほどご参照ください。
中期成長戦略
それでは本日のご説明の最後となりますが、当社の中期成長戦略についてご説明いたします。
2023年6月期の振り返り
中期成長戦略は、2点ございます。
企業価値向上のため、1つ目に、主力事業であるコンテンツマーケティング事業のさらなる拡大を、2つ目に、成長事業と見込む海外人材事業の拡大を、推進してまいります。
コンテンツマーケティング事業の拡大については、①メディア単価の向上・②顧客数の拡大・③メディア継続期間の長期化、という3点で進めてまいります。
また、ITと介護の領域における、海外人材事業の拡大を目指してまいります。
後ほど、詳しくご説明します。
中期成長戦略概要
中期における数値目標としては、連結売上高について、CAGR15~20%を、連結営業利益率について、3年間平均20%と掲げております。
今後、主力事業であるコンテンツマーケティング事業のさらなる拡大と、成長事業と見込む海外人材事業の拡大を着実に推進していくことで、巻き返しを図ってまいります。
成長戦略 【1】コンテンツマーケティング事業の更なる拡大(概要)
コンテンツマーケティング事業は、
・運用メディアの単価向上
・顧客数の拡大
・継続期間の長期化
これらを着実に実施していくことで、拡大・成長を実現させます。
また、2023年の減益要因は、有料広告・リスティング広告の出稿費が増加し、また、戦力となる人材確保のために人件費などが嵩んだことが影響しております。
これらの費用についての削減も、同時に進めて参ります。
成長戦略 【1】コンテンツマーケティング事業の更なる拡大(詳細)
コンテンツマーケティング事業は、WEB広告へのニーズが高く、非常に幅広いマーケットが見込まれるBtoB市場に、今後も注力してまいります。
BtoB業種は、専門性の高さやメディアサイズの傾向から、メディア単価のさらなる向上を望むことができます。
また、代替されにくいメディアとして、継続期間の長期化に貢献すると見込んでおります。
過去からの積み上げで、メディア制作の事例が多数蓄積できております。
これらを営業資料として横展開に活用したり、運用メディアを活用した広告枠の販売をするなどして、1メディア当たりの単価のさらなる引き上げに繋げてまいります。
また、資本業務提携したスタイル・エッジとの協働により、新たな顧客層の開拓にも取り組んでまいります。
成長戦略 【2】海外人材事業の拡大 ~市場背景
成長戦略の2つ目「海外人材事業」について、まず市場背景よりご説明いたします。
少子高齢化が進む日本では、2030年には644万人もの労働力不足に陥ると言われています。
当社は、海外の人材を日本に受け入れる事業を推し進めています。海外IT人材事業には2018年より参入、海外介護人材事業には2022年より参入いたしました。
成長戦略 【2】海外人材事業の拡大 ~海外IT人材①
IT人材について。
人口減少を補うのは、「テクノロジー」と「海外人材」。
その「テクノロジー」の発展に欠かせないのが「IT人材」でございます。
経産省によりますと、日本のIT人材は2030年までに最大で79 万人不足すると予想されています。
この状況は、日本にとっては大きな社会課題ですが、当社にとっては社会課題の解決への貢献と、企業価値の向上の両立を実現させる非常に大きなチャンスにもなると考えています。
成長戦略 【2】海外人材事業の拡大 ~海外IT人材②
IT人材事業においては、当社は、世界三大IT都市と評されるインド・ベンガルールの上位 39大学と提携し、インドでICT教育を受けた新卒の学生と日本企業をマッチングするために、“ジャパンキャリアセンター”をベンガルールの大学内にオープンしています。
2023年6期は、JapanDayなどの就活イベントが功を奏し、人材登録者数は、プラス4千5百名で、合計1万6千名弱となり、内定人員はプラス77名 で累計279名と大幅に増加しました。
成長戦略 【2】海外人材事業の拡大 ~海外IT人材③
2022年10月には新プラットフォーム「Yaaay(イエーイ)」をリリースし、中途採用市場の人材紹介も開始しています。
成長戦略 【2】海外人材事業の拡大 ~海外IT人材④
こちらは、海外IT人材と日本企業をマッチングさせるプラットフォームで、プラットフォーム上で「企業紹介」や「求人票」を英語で設置して、それを見た外国人エンジニアが、プラットフォーム上でエントリーします。
足元では、インドのみならず世界60カ国以上の国籍で日本への就労を希望する即戦力人材が集まるプラットフォームに成長しており、今後内定者が増えていけば、着実に伸びていくものと考えております。
豊富な登録人材データベースを活かして、海外IT人材と日本企業とのマッチング機会をさらに拡大させてまいります。
成長戦略 【2】海外人材事業の拡大 ~海外介護人材①
海外人材事業の2つ目は、介護人材です。
今後ますます労働人口の減少が進み、介護業界においては、2040 年には69万人の介護人材が不足すると言われており、海外人材の活用が不可欠となります。
しかしながら、海外人材を日本の介護事業に受け入れるにあたっては、語学面でのハードルがございます。
こちらについては、当社の日本語教育事業とシナジーがございますので、採用から日本の介護施設への受入・定着まで一気通貫のサポートをおこなうことができます。
成長戦略 【2】海外人材事業の拡大 ~海外介護人材②
これは当社の強みなのですが、まず介護人材の供給側についてご説明します。
インドネシアの企業2社と既に独占契約を結んでおり、インドネシアでの日本語教育・介護教育の体制が整っている、という点でございます。
1社目の「ガクシュウドウ」とは、インドネシアで1987年より日本語教育をおこなっており、日本語教材の出版やインドネシア人材の送り出し事業をおこなっています。
2社目の「ダルマワン」は、介護の専門高校を運営しております。「ダルマワンパーク」という広大な敷地内に専門高校や介護施設がありまして、ここで生徒たちは、座学だけでなく、実際の介護施設で実習をすることができます。
これらの会社から日本に人材を送る際は、必ず当社を通すという契約を結んでおります。
次に、日本の受け入れ側を考えたとき、当然ながら色々な不安要素があることと思います。
たとえば、「スムーズに意思疎通ができるのか?」「生活習慣の違いで困るのではないか?」また「任せられる仕事の範囲が限られるのではないか?」というようなものです。
この不安を解消するために私たちは、M&Aで得た介護施設を自ら運営し、これをフラグシップモデルといたします。成功事例を見ていただいて、受け入れ不安を解消できれば、他の介護事業者様でも海外人材を受け入れやすくなります。
また、日本語教育で培ってきたノウハウを活用し、介護現場で使用する日本語に特化した独自の学習教材「ZENKEN NIHONGO 介護」を開発し、主に介護施設に対して販売を開始すると同時に、介護現場と外国人労働者のマッチングを図り、定着をサポートしております。
フラグシップ施設で受入先事業者が抱える課題へのソリューションを体現し、新たな顧客の開拓を図ることで、事業を拡大していきます。
おわりに
このようにIT人材、介護人材を皮切りに、海外人材を労働力不足の日本に受け入れるプラットフォーム企業を目指してまいります。
最後になりますが、今後も既存の各事業のみならず、継続して新規事業の開発と育成が必要と考えております。そのためには社内リソースの活用だけではなく、外部リソースを活用することも重要と考えており、事業提携やM&Aなどのあらゆる可能性を検討してまいります。
ご説明は以上となります。
ご清聴、誠にありがとうございました。